2008年度「海外神社(跡地)に関するデータベース」の増補改訂について

 COEの事業を引き継いだ神奈川大学常民文化研究所 非文字資料研究センターから、「海外神社(跡地)に関するデータベース」の増補改訂版を公開いたします。2008年度の増補は、『侵略神社』(新幹社)の著者辻子 実氏から、氏が長年に渡って収集された貴重な資料の提供を請けました。それらのうち古絵葉書を中心に600点以上のデータを増補し、データベースの内容を充実させることができました。辻子 実氏にはここに記して感謝いたします。

 「海外神社(跡地)に関するデータベース」の公開をきっかけに、戦時中に中国の南京などで造営された神社の図面が、それらの神社造営を担当した宮大工の故仲徳治郎家(天理市)に伝わっていることなどが分かってきております(朝日新聞2008年12月3日・4日既報【大阪本社および奈良版】)。

 増補改訂に当たってトップページのデザインを一新しました。大きな画像の周囲に小さな画像を配するレイアウトにしており、それらの小さな画像が順次大きな画像に入れ替わって行くように設定されています。また、画像データは、「満洲国」建国忠霊廟・南洋神社・朝鮮神宮・台中神社・樺太神社の旧・新の画像で構成されています。なお、旧台中神社と旧朝鮮神宮跡地の写真はフリーカメラマン稲宮康人氏の提供によるものです。

 なお、以下に辻子実氏コレクションについての整理方針を示す。
 非文字資料研究センターは辻子実氏より2008年11月に海外神社関係資料(733点)の提供を受けた。資料は古絵葉書を中心とした資料群と書籍資料とである。このうち2008年度は古絵葉書を中心とした資料群を整理し、データーベース化を図った。古絵葉書を中心とした資料群の大半は絵葉書であるが、十数点の古写真、葉書、印刷物等の関連資料も含まれている。辻子氏はこれらの資料を地域ごとに分類し、B5サイズのフォルダ8冊に整理されている。フォルダのシート一枚ごとに一点ずつ資料が挿入されている。8冊のフォルダ名は以下の通りである。
「海外神社之絵葉書 台湾の部」
「海外神社之絵葉書台湾・台南・台中」
「海外神社の絵葉書 中国・満州の部」
「海外神社之絵葉書 中国満州 青島・大連・ハルピン・天津・白玉山・奉天・新京(長春)」
「樺太・亜庭・大泊・敷香・知取・エストル・樺太招魂神社・南洋・ホノルル」
「海外神社之絵葉書朝鮮の部」
「朝鮮 海外神社之絵葉書 朝鮮・平壌」
「忠魂塔・忠霊塔」
 さらに8冊のフォルダの他に、ビニル袋に入れられた71点の資料がある。この71点は辻子氏の御著書『侵略神社』(新幹社)に収録する際にフォルダから抜き出されたのではないかと思われる。
 当センターでは上記フォルダの順に資料にID2210~2943の番号を付し、資料の文字情報のデータ入力作業と画像のデータ化作業をおこなった(一部の資料については、辻子氏より借用した画像データを利用させていただいた)。

文字情報の各項についての整理方針

  1. 「原資料付加文字情報」の項には、絵葉書表面の印字情報のみを鉤括弧(「 」)で入力した。ただし印刷元、発行元、取次ぎ販売店については「原資料撮影・作成」の項に入力した。非印字情報(記念スタンプ・朱印・毛筆やペン等の書き込み)については、「備考」の項に入力した。
  2. 「原資料撮影・作成」の項には、印刷元、発行元、取次ぎ販売店名等を入力した。表・裏面の区別は明記していない。
  3. 「備考」の項には、絵葉書裏面の文字情報を鉤括弧(「 」)で入力した。また表面の非印字の文字情報(記念スタンプ・朱印・毛筆やペン等の書き込み)も入力した。表・裏面の区別は(表)と(裏)で表わした。
  4. 旧字体は新字体に改めて表記した。

 今後ともさらにデータベースの充実を図っていきたいと考えております。お気づきの点がございましたら、下記のメールアドレスにご一報下さい。

神奈川大学 常民文化研究所 非文字資料研究センター
2008年度増補改訂担当   津田良樹
本田佳奈
中島三千男
2009年3月
e-mail : himoji-info@kanagawa-u.ac.jp